海外からのメッセージ

映画監督・脚本家・プロデューサー ヨンユット・トンコントーン

映画監督・脚本・プロデューサー ヨンユット・トンコントーン

Hello!

私は、これまで「なぜコメディというジャンルが好きなのですか?」という質問を幾度となく投げかけられてきました。そのたびに私は、その場の雰囲気に合うような答え方をしてきました。
しかし沖縄国際映画祭を目前に控えた今、これは絶好のタイミングだと思い、なぜ自分がコメディ映画に愛着を抱き続けているのかをまとめてみることにしました。

1.笑いは病を治す

教授、ジャーナリスト、世界平和提起者としても有名なノーマン・カズンズ医師は、脊柱組織の異常が原因で関節に痛みやこわばりが生じる慢性の病気――強直性脊椎炎と闘っていました。そしてトルカズンズ医師はこの病に対して、ビタミンCの服用に併せて、積極性、愛、自信、希望、そして映画で笑うセラピーを組み入れた快復プログラムを発表しました。「10分間の大笑いには麻酔効果があり、私の場合、少なくとも2時間は痛みを伴わない睡眠が取れる、という嬉しい発見をしました」とカズンズ医師は報告しています。「笑いによる鎮痛作用が消えていくと、我々はまた映画を入れたプロジェクターのスイッチを押してしまうのです……」。さらにこのプロセスは炎症も緩和してくれるというのです。そして最終的にカズンズ医師は病気を克服したのです。彼の強直性脊椎炎という病気との闘いについては、「笑いと治癒力」という著作と映画でさらに詳しく知ることができます。

2.笑いは我々に生きる喜びを与えてくれる

病気やけがといった困難な状況の中にいながら、ユーモアや笑いを生み出せる人とは、非常に勇敢です。そうした人たちは、悪い状況を克服するための内なるパワーを自ら感じ取ることや、利用することができる。先にも言及しましたが、笑いというのは患者の健康だけでなく、心にも良いものです。笑いはその人の世界観をより前向きに他の人たちに伝えることのできる素晴らしい手段なのです。
面白い話やジョークのことを考えている時の脳内では、まず左脳が機能し、前頭葉と連結してその意味を分析します。次に右脳がその情報を一列に並べて物語をひとつにする。この一連の活動の中で情報が処理され、物語が脳全体に広がっていくのです。そしてようやく人は爆笑する、というわけです。

3.よく笑うようになることは、呼吸器系にもより良い効果をもたらします。深呼吸により肺の浄化を助けることは、とりわけ呼吸器疾患のある人には大切なことです。

4.笑いは免疫システムを刺激して、体内のT細胞を活性化させます。

5.今までに述べた1~4の項目に書いたことはどうか全部忘れちゃってください(すべて本当のことですけどね)。

私がコメディというジャンルが好きな本当の理由は、単に私がハッピーな人を見るのが好きだからです――私の映画を観て、笑顔になったり笑い声をあげたり、共感したり、支持してくれていると感じる時はなおさらです。この幸せこそが、これからも観客がポジティブになれるような映画を作りたいと思わせてくれる、私の原動力なのです。

そしてこの文章を読んで下さった皆さん、ここまで読んだということは、あなたもきっと熱心なコメディ映画ファンに間違いありませんね。なぜって……きっと今、まさにあなたの顔が笑顔になっているはずですから。:D

映画監督・脚本家・プロデューサー
ヨンユット・トンコントーン

メッセージ

第1回 沖縄国際映画祭(2009年)